2016年1月5日火曜日

中華正弦波インバータの分解

車内で100V電源が用意できると何かと便利なので、インバータを購入した。
商品はBAL(大橋産業株式会社)の「No.1785 3WAY 正弦波インバーター 120W」

車用インバータとして一般的には、AC100Vに擬似正弦波と呼ばれる2レベルの矩形波を出力するものがある。
殆どの機器がこの擬似正弦波で動作するが、一部の精密機器やトライアック等による位相制御がなされる機器は動作しないことがある。
正弦波を出力するインバータはこれらの問題を解決し、一般家庭に供給される商用電力と同様に扱うことができる。

早速車に持ち込み、シガーソケットで動作確認を行った。
問題なく出力が得られることを確認できた。

・・・・

擬似正弦波出力のインバータは過去にいくつか分解したことがあるのでおおよそ見当がつくが、正弦波出力タイプのインバータはこれが初めてなのでど~なってんのか気になり・・・分解してみた。

PWMで正弦波形テーブルを出力し、LCフィルタでキャリアをカットしているんだろうなと予想はつくが。

結論とも言える出力周りの回路。
MOSFETのブリッジにLCフィルタが付いただけのシンプルなものだった。。。

以下画像類
~~~~~~~~~~~~~~~~

無負荷時出力波形

負荷:グロー式蛍光灯

負荷:はんだゴテ
  
フルブリッジ出力PWM波形①

フルブリッジ出力PWM波形②

フルブリッジ出力PWM波形③

昇圧トランス2次側波形 

無負荷時消費電流

無負荷時出力電圧

無負荷時出力周波数(60Hz設定時)

液晶モニタ(35W)負荷時出力電圧・・・

外見

出力パネル

裏面



USB給電用基板



12V→200V昇圧トランスのプッシュプルドライブ基板


フルブリッジドライブ基板

水晶と絶縁ドライバICが見える

PWMのキャリアをカットするコイル
1つ580[uH]ほど

トランス駆動用プッシュプルのヒートシンク



フィルタ用コンデンサ 10[uF]



耐圧200Vだが、、常時198V程度に充電されている
コスト削減でケチったか?

昇圧トランス2次側に直列に接続されるコンデンサ




フルブリッジ

【メモ】
・ケースが全面プラスチック製なのでシールド効果や冷却性は期待できない。一応空冷ファンは付いているが。
・12V入力とAC100V出力は完全に絶縁されている
・電源投入時に過放電アラームがいちいち鳴って煩い
・エアバンド(VHF)受信中にノイズ乗る(配線の取り回しで解決するかも


~おわり~


8 件のコメント:

  1. コメント失礼します。
    村松と申します。

    まさに、この製品の購入を検討していて、調べていた所、
    まさに知りたい情報の宝庫で、誠に勉強、参考になりました!

    記事を読む中で、いくつか質問が生まれたのですが、もしよければ、簡潔な形で構いませんので、教えていただけないでしょうか?

    1.ずばり、お買得な製品だと思われましたか?もしくは、1万以上する製品を結局は買ったほうがいいと思われましたか?

    2.波形の画像、ものすごく参考になったのですが、この波形は正弦波インバータとして、綺麗と呼べるレベルだと思われますか?

    3.Amazonレビューを見ると、電化製品が動かなかったというレビューがちらほらありますが、原因は、波形に見える微妙な乱れが原因なのでは、という推測を得ることができたのですが、どう思われますでしょうか?

    良い記事を、誠にありがとうございますm(_ _)m

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    1. 村松さん
      はじめまして。ご訪問ありがとうございます。
      私なりの主観にはなってしまいますが、
      1. とりあえず安く正弦波インバータがほしいのであれば、本機は6千円程度で購入できるのでお買い得かと思います。但し、筐体が樹脂であることからもご察しの通り、ノイズを撒き散らします。カーラジオなどには雑音が入るようですのでそれが許容できるのであれば問題ないでしょう。個人的にはラジオや無線をよく使用するので、電菱等が販売している金属筐体の製品を買ったほうが良かったなぁと思います。

      2. 波形の質に関しては、他の機種を見たことがないのでなんとも言えないです。ゼロクロス付近の歪が気になりますが、それでも矩形波や擬似正弦波出力タイプと比較すると十分綺麗かと思います。

      3. この程度の歪では通常問題にならないレベルです。電化製品にもよりますが、モータを使用したものやヒータ類は起動時に製品に記載されている消費電流を超えるものがあるので120Wを超えているのかもしれません。また、120W消費時には、少なくとも12V入力側に10A以上流れるため、シガーソケットの接続部が緩んでいると接触抵抗が増え、低電圧アラームが作動しているのかもしれないです。ノートPCの充電などには十分かと思いますが、ヒーター類を使われるのであれば、消費電力の1.5~2倍程度の容量を持ったインバータを選定し、バッテリーから直接配線するタイプが安心です。

      ご期待通りの回答になっていないかもしれませんが、また不明な点がありましたら分かる範囲でお答えします(^^)

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    2. ご返事くださり、ありがとうございます。
      とても参考になり、非常に助かりました。
      >1
      樹脂製というのは、大きな欠点ですね。
      >3
      接触抵抗の低下というのは、なるほど盲点だと思いました。瞬間電力の事なども考えると、W数は余裕をもって購入した方がよさそうですね。

      本当に助かりました。
      購入を決めれそうです。
      また、時々、ブログ拝見させてくださいm(_ _)m
      ありがとうございました。

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  2. 初めまして。質問ですが、オシロでAC100vをされているようですが、オシロスコープはグランドせずにプローブをつないでいる状態なのでしょうか?
    オシロスコープでAC100Vを計測する正しい方法がしりたかったのでご教授いただけないでしょうか?

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    1. 返信が遅くなり申し訳ありません。この回答を見ることが無いかもしれませんが、一応回答しておきます。
      今回のように、12V入力とAC100V出力の間が絶縁されているインバータのAC100V側を計測する際には、オシロスコープのグランドをAC100V端子に接続しても問題ありません。ただし、安全のために、インバータのAC100V出力コンセントにはオシロスコープのプローブ以外を接続していない状態で計測を行ってください。
      家庭のコンセントに来ているAC100Vをオシロで計測する場合には、1:1の絶縁トランスを使用するのが最も安全です。また、CH毎に絶縁されているオシロスコープもありますが、非常に高価です。そこで、2CH分のプローブのホット側のみをAC100Vに接続し、GNDプローブはフローティング状態にしておき、CH1 - CH2の演算を行うことで簡易的な差動計測を行う方法があります。演算処理が絡むのでリアルタイム性や精度が低下しますが、簡易的に計測するのであればこの方法が使えます。
      最後に、オシロの電源プラグのアース端子を浮かした状態で、プローブのGND端子とホット側をコンセントに接続して直接計測する方法もありますが、危険を伴うためオススメしません。万が一実行される場合には、コンセントの接地・非接地極の違いと、オシロスコープの構造を十分に理解した上で以下の手順で実行します。安全のために絶縁手袋を装着してください。また、オシロ本体とプローブの耐電圧がAC100Vに対して十分余裕があることを確認してください。USB接続タイプのオシロスコープでは危険ですので試さないでください。(本手順に従って生じたトラブルには一切責任を負いかねますので、ご参考程度に留めておいてください・・・)
      ①多チャンネルオシロの場合は、CH1以外のプローブを全て取り外します。また、オシロにはCH1のプローブと電源コード以外は接続しないようにします。大抵のオシロは、プローブのGNDと筐体金属部、通信ケーブルのGNDが導通しているため、これらを取り外さなければ本体をフローティング状態にできません。
      ②予めコンセントの接地極側を調べた上で、接地極側にプローブのGNDクリップを接続します。接地極側がどちらか判別できない場合には危険ですので計測を行わないでください。誤ってプローブのGNDクリップが非接地極に接続された場合、オシロスコープ筐体に対地電圧AC100Vが印加されるため、感電の恐れがあり非常に危険です。
      ③プローブのHOT側を非接地極に接続し、計測を行います。計測時は安全の為、オシロスコープ本体の金属露出部には触れないでおきます。計測が完了したら直ちにプローブのHOT側から先に非接地極から切り離し、その後にGND側を接地極から切り離します。
      このような手順により測定することが可能ですが、感電リスク・オシロ破損リスクなどを伴うため基本的には1:1絶縁トランスを使用して計測することをオススメします。

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    2. そうでしたか、ご教授ありがとうございます。

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  3. はじめまして。弟が過負荷(冷蔵庫)を繋いでしまったようで、壊れてしまいました。
    症状は、電源スイッチを入れると異常アラームが鳴ります。
    負荷は繋いでないし、電源も充電済みなので、短絡だと思います。
    電源スイッチを入れなくても、シガーソケットに電力が出力されています。USBポートには出力されません。
    どこが怪しいか見当はつきますでしょうか?
    FETをバラしてみようかと思いましたが、他の回路とくっついていて面倒そうでした。

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    1. 結論から申し上げると、頂いた情報だけでは見当がつきません。
      過負荷によりDC12V→DC200昇圧回路に使われるMOSFETまたは、直流⇒交流に変換するインバータ回路のMOSFETが破損している可能性がありますが、基板を前に順に追っていかないと故障箇所の特定は難しいです。また、シガーソケットへの供給はインバータ回路とは別ヒューズ(F3)なので、これが遮断されない限り出力されます。インバータ回路のヒューズ(F1)が遮断されていないか確認し、遮断されていれば交換下さい。遮断されていなければ内部部品の故障なので、電子回路の知識がないと修理は困難です。

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