2013年4月28日日曜日

伝送線路の特性インピーダンスの測定 その2(簡易TDR法)

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性能を向上させた治具の作製記事を書きました(2021/8/8)
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その1に続いて特性インピーダンス測定ネタです。

今回は、TDR(Time-Domain Reflectometry : 時間領域反射)法を使って測定してみます。

TDR法とは、負荷からの反射波形を測定することで、伝送線路のインピーダンスを測定するものです。時間軸でインピーダンスの変化を見ることができるので、伝送線路の長さを測定したり、伝送線路上のどの位置に異常があるか等を調べることができます。

具体的な仕組みは、伝送線路に抵抗を通して立ち上がりが非常に早いパルスを与えて、線路間の電圧を測定するというものです。
市販のものでは立ち上がりが数十[ps]という高性能なものもあります。このような機器を使えば数[mm]単位で不具合箇所を特定することも可能です。

といっても趣味の電子工作でここまで早い立ち上がり信号を作ることは難しいので、今回はロジックICを使って簡単に作ってみました。

これが今回作ったTDR測定用パルス発生器です。
主に74HC14と2SC1815で構成されています。
参考までに回路図です。定数は結構適当だったりします。画像の中のON時間と基板上に書いてあるON時間が違いますね。基板写真に記載の6.8usが正しいです。電源電圧によってもビミョーに変化します。
まぁ立ち上がり時間が短いのが重要なわけで、パルス幅とか周波数とかは適当で問題ありません。
無負荷時の波形です。立ち上がりは5[ns]といったところでしょうか・・・
負荷によって波形が変わると書いていましたが、具体的な波形の例は以下の様な感じです。
終端を開放すると100%反射されて元の波に上乗せされます。短絡だと位相が反転したものが100%反射して返ってきます。
これは高校物理で出てくる固定端反射、自由端反射と同じイメージです。
終端短絡は片方が壁に括りつけられた紐(固定端反射)の波に、終端開放がプールの壁にあたって跳ね返ってきた波(自由端反射)に相当します。

伝送線路の特性インピーダンスと負荷インピーダンスが等しいと、反射波が帰ってこないので、観測される波形が平らになります。

つまり、特性インピーダンスの不明なケーブルの終端に可変抵抗を付けて、反射波が帰ってこない様な値に調整すると、その抵抗値が特性インピーダンスと等しくなっているわけです。

とりあえずやってみましょう~
こんな感じに同軸ケーブルを取り付けて測定します。
Φ1.1[mm] FEP同軸 50[Ω]です。
まずは、終端開放です。反射波が観測されているのがわかりますね。
ケーブルの長さは7.1[m]で、反射波が帰ってくるのにおおよそ68[ns]掛かっています。
光の早さは約3*10^8[m/s]なので7.1[m]のケーブルを往復するのには(7.1*2) / (3*10^8) = 47.3[ns]掛かるはずです。
しかし、実測した値はこれよりも長くなっています。
これは、ケーブルの誘電体の影響で伝播速度が遅くなっているからです。

この、光の速度に対して伝送速度がいくらか?という値は、伝播速度係数や波長短縮率[k=v(伝送路での伝播速度)/c(光速)]としてケーブルのデータシートなどに書いてあると思います。
この例ですと、47.3 / 68 = 0.695ですね。
次に終端短絡です。
DC抵抗があるので0になりきってないですがそれっぽい波形が見えています。
最後に終端に可変抵抗を取り付けて、波形が平らになるように調節したものです。
右側のカーソル付近での反射波が消えています。
可変抵抗の値を測定してみましょう。
51.29[Ω]と出ました。
規格である50[Ω]に近いですねー


次にTVのアンテナ線としてよく使われている75[Ω]の同軸ケーブルで測定してみました。
ケーブルの長さは3.9[m]です。
反射波が帰ってくるのに39.5[ns]掛かっています。
光の速度で伝播すると 7.8 / (3*10^8) = 26[ns]掛かります。
伝播速度係数は0.658ですね。
可変抵抗の値は73.51[Ω]でした。
75[Ω]に近いです。


お次はダ○ソーで売られていたRCAケーブル。
長さは2.04[m]です。
反射波が帰ってくるのに27.2[ns]掛かっています。
光の速度で伝播すると 4.08 / (3*10^8) = 13.6[ns]掛かります。
伝播速度係数は0.5ですね。小さいです。
インピーダンスは29.19[Ω]でした。


最後に秋月で売られているRCAケーブル。
75[Ω]同軸が使用されていて、無酸素銅が使われるなど高級っぽいです。
反射波が帰ってくるのに33.2[ns]掛かっています。
光の速度で伝播すると 6 / (3*10^8) = 20[ns]掛かります。
伝播速度係数は0.602ですね。
実際は接続用のオスRCAの分だけ長くなりますが、、、、
インピーダンスは74.65[Ω]でした。
ほぼ75[Ω]に一致しています。

ということで、前回の簡易測定よりも正確に測定できているのが分かります。

300[Ω]のフィーダー線も測定してみたかったのですが、持ってませんでした。
一台あるとイロイロ使えて便利だと思います。

計算式、測定方法等間違ってるかも知れません。
コメント欄で指摘していただけるとありがたいです。


画像ばっかりの記事になってしまいましたが以上で終わります。

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