~ 経緯 ~
自室のデスクトップパソコンとオーディオコンポをUSBケーブルで接続して使用しているのですが、数日前に掃除をしていた時、一旦外していたUSBケーブルをコンポ側のコネクタに挿すときに小さな火花が散っているのを発見しました。
気のせいかな?と思ってUSBコネクタのシールド部分とコンポの差込口金属部を両手で触れてみると、少しビリビリ来たのでテスターで電圧を測定してみるとAC70V程度ありました。おそらくPC側のノイズフィルタから来ているものだと思います。
この状況はあまりよろしくないので「接地をしよう!」と思ったわけです。
といっても、部屋のコンセントはエアコンのコンセントを含めて接地端子は付いていません。
来ているのはDRSSTCのテストに使っていたアース線くらいです。ここに接続するのも気持ち悪いので新たにアース棒を埋めることにしました。
~ 経緯終わり ~
ホームセンターで購入してきたアース棒は、断面がS字になっている物で長さは60cmです。
これを部屋からすぐ近くの庭に埋めました。
地表から約30cm掘り下げたところに打ち込んでいます。
頭が隠れるまで打ち込んだあと、じょうろで水を掛けてから土を戻しました。
念のため地表10cmのところに「アース棒が埋まっていますよ~」って分かるようにラベルを入れておきましたw。
ちなみにアース棒に付いている銅線と黒色の線は、はんだ付けした後にビニルテープで保護してあります。本当は緑色の線を使いたかったのですがこの電線がたくさんあったので、、、
1.25sq HKIV耐熱電線です。
とりあえず埋め終わったのですが、接地抵抗がどの程度なのか知りたくなりますよね?
D種接地は漏電遮断機が付いている場合は500Ω以下と決められていますが、そのくらいはあるだろうなー と予想していました。
(今回はD種接地の規定に沿っているわけではないが。)
で、接地抵抗の測定方法をいろいろ調べていますと、主となる接地棒の他に測定用の補助接地棒を2本打ち込んで測定する「電圧降下法」ってのがよく使われていることがわかりました。
詳しく知りたい方は、「接地抵抗測定方法」とかで検索するといくらでも分かりやすい説明が出てきますが、ここでも簡単に説明してみます。
まずはこの図を見て下さい。
図中でEと書かれているものが主となる接地棒です。P、Cは測定時に必要となる補助接地棒です。
各接地棒の間隔を大きく取るのは、接地棒付近では導体と土との間で接触抵抗が大きく、それにともなって電圧勾配も大きいためです。
この電圧勾配がほぼ水平になったところに補助接地棒Pを打ち込まないと正確に測定できません。
電圧降下法ではE-C間に一定の交流電流を流して、その時にE-P間に生じる電圧を測定することで接地抵抗を求めます。
理解しやすいように各接地棒に生じる接地抵抗をRe, Rp, Rcで表記したのが以下の図です。
まず、接地棒E-C間に3mA程度の交流定電流を流します。
この時、ReとRcによって電圧降下が発生しますが、定電流源を接続しているので各抵抗に流れる電流は変わりません。
次に交流定電流を流したまま接地棒E-P間の電圧を測定します。
ここで用いる電圧計の内部抵抗はRpに比べて無視できるほど十分大きいものでなければいけません。
内部抵抗が十分に大きければRpにはほとんど電流が流れず、Rpの電圧降下を無視することができます。つまり、Rpを短絡したと考えてOKです。
そうすると電圧計はRe両端の電圧を測定していることになります。
よってオームの法則よりRe = V / I と求めることができました。
これが電圧降下法の測定原理です。
市販の測定器には交流定電流源と電圧計が内蔵されていますが、交流定電流を作るのが面倒なのでオシロスコープで電流値と電圧値を測定してそこから接地抵抗を求めることにします。
各機器の接続を以下に示します。
↓実験の様子
まず、PC上でWaveGaneというソフトウェアを使って820Hzの正弦波を出力させます。
820Hzという周波数は市販されている接地抵抗計で使われていたのでそれを真似ています。
この信号をオーディオアンプで増幅し、さらに1次と2次を逆接続した電源トランスで昇圧して絶縁された高電圧の正弦波交流を得ます。
この電圧をE-C間に印加しますが、Eに近い側に10Ωの抵抗を入れて、ch1のプローブに入力し電圧降下より電流を計算します。
補助接地棒Pはch2に入力します。
観測された波形を次に示します。
割ときれいな正弦波が出ています。
ch1の電圧が39.15mVrmsなので流れている電流は3.915mAとなります。
ch2の電圧は2.407Vrmsなので、接地棒Eの接地抵抗Reは2.407 / (3.915*10^-3)より614.8Ωと求まりました。
予想していたよりも大きな値でちょっと残念。
100Ω以下にするには結構大変なことが分かります。
電圧降下法による測定は以上です。
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次にLCR METER DE-5000を使って同じく接地抵抗を測定してみます。
こちらも測定対象に交流電圧を印加して抵抗値を求めます。測定周波数は1kHzとしました。
方法は単純で、接地棒E-P、P-C、C-E間の抵抗を測定し、連立方程式を解いて各抵抗値を求めます。
各接地棒は電圧降下法で実験した時と同じ位置に打ち込んであります。
精度よく測定するには、各接地棒を正三角形の頂点に位置するように打ち込み、間を10m程度ずつ離すのが理想です。
今回は簡易的な測定のため、直線上に打ち込んでいます。
↓測定の様子
結果は、
E-P間 1.434kΩ
P-C間 2.023kΩ
C-E間 1.855kΩ
となりました。
これより、接地棒Eの接地抵抗Reは (1.434+1.855-2.023)/2 = 0.633 → 633Ωと求まりました。
同じように計算してRp = 801Ω、Rc = 1222Ωとなります。
上で行った電圧降下法の結果とだいたい一致しています。
いちいちオシロスコープを持ち出すのは億劫なのでこの方法で十分でしょう。
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こうして庭に埋めた接地棒から線を部屋まで引き込み、端子台に接続しました。
PC本体とモニタ、コンポのアース線をここに接続しています。
後日、アース棒をもう一本打ち込んで接地抵抗を330Ωまで下げました。
接地後は異常電圧はなくなりました。
あと、コンポでFMを聞いている時のノイズが小さくなったような気がします・・・。
アースは大切ですね!??
~ おわり ~
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